コラム

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心療内科

ストレスのせいだと片づける前に身体の検査をちゃんとしましたか?

 精神的な不調から、身体のだるさ、吐き気や胃もたれ、胃の痛み、下痢、便秘、頭痛や頭の重い感じ、ふらつき、めまい、胸の痛み、胸やけ、動悸、息切れ、熱っぽさなどの多様なからだの症状が出現することは多くありますが、ここで注意しなければいけないことがあります。

 それは、思い当たるストレスがあったとしても、身体の症状をそのストレスのせいだと片づけず、それぞれの臓器に問題がないかをまずは確かめる必要があることです。

 たとえば、胃が痛いときにストレスのせいだと思い込んでいて検査をせずに放置したせいで胃がんなどの重大な疾患の早期発見のチャンスを逃してしまったり。動悸がして不安強く心が休まらないといっても、ずっと精神科で治療しているがよくならならず、のちのち甲状腺機能亢進症であったことがわかったり。ほかにも、身体の病気だけれども、ちゃんと検査をしていないせいで、発見が遅れ、不利益を被るということは実はわりとあります。

  当院でも血液検査や心電図、睡眠時無呼吸の検査などでできる範囲の身体疾患は行っておりますので、糖尿病、肝疾患、腎疾患、甲状腺疾患、副甲状腺疾患、電解質異常、 不整脈、虚血性心疾患、睡眠時無呼吸症候群など、ある程度の身体疾患の早期発見は可能です。

 しかし、それ以外の疾患の精査(胃カメラ、大腸カメラ、CT検査、MRI検査、心臓カテーテル検査など)については、あらかじめ専門の診療科で相談されておいた方がよい場合がありますのでご理解いただければと思います。

 心療内科だけでなく、漢方内科の患者様も、それぞれの症状に対して、まず各診療科に受診され、治療の必要がないかをちゃんと調べておかれることをお勧めします。

2019.10.18 | 医師のこと・医院のこと,心療内科,漢方内科,漢方治療について,精神科全般,精神科治療について

パニック障害は治療でよくなります

 きっかけもなく突然、動悸や息切れ、強い不安を伴い、ときには過呼吸を起こす発作のことをパニック発作と言い、このパニック発作が繰り返されるとパニック障害という診断になります。

 パニック発作が何度も何度も繰り返されると、「またパニック発作が起こるのではないか」「パニック発作が起きたらどうしよう」という不安が強くなっていきます。これを予期不安と言います。また、「また新幹線でパニック発作が起きそうだから旅行はやめておこう」「電車の中でパニック発作が起きるのが怖いから、今日は外出はしないでおこう」という、発作が起こっては困る状況を避けるようになってきます。これを、広場恐怖と言います。これらの予期不安や広場恐怖が強くなってくると、外出自体を避けるようになり、社会生活が制限されるようになっていきます。

 これらの症状は性格の問題だと片付けられがちですが、最近の研究では、脳のなかの危険を察知する「警報装置」のような働きをしている扁桃体という部位が過活動することによって、パニック発作がおこってくることがわかってきています。

 そのため、この扁桃体の過活動による不安の出現を抑える薬によって、治療が可能となっています。薬を服用することによって、パニック発作自体が軽減していきます。そして、パニック発作が起こらなくなってくると、次第に予期不安や広場恐怖が軽減し、次第になくなっていきます。

 大体の方は、薬の治療によって予期不安や広場恐怖もともに改善してくるのですが、パニック発作はなくなったけれど、どうしても広場恐怖がなくならない方がおられます。その場合は、認知行動療法をおこなっていく必要があります。どのような場面で恐怖を感じるか、どんな状況を避けているかなど、日々の振り返りを行いながら、身体と心が覚えてしまった不安と恐怖を徐々に解消していく取り組みを一緒におこなっていきます。この取り組みがうまくいくと、制限されていた社会生活が徐々に拡大し、以前の問題なかった頃のようになっていきます。

 調子のよかった頃のような生活に戻ってから、しばらくは薬で症状を抑えながら、避けていた状況を避けないように意識しながら生活をしていきます。そうして半年から一年間程度予防をしていくと、「もう薬飲んでいる必要あるのかな」というくらいの気持ちになってきます。そうしてくると、薬の減らし時です。

 薬をやめてからその後もずっと大丈夫という方もおられますが、再発をしてしまう方もおられます。その場合は、もう一度同じような治療をするとよくなります。何度も再発を繰り返しておられる方は、再発予防のために当面は薬を服用しておくことをお勧めします。

 簡単にパニック障害の説明をさせてもらいました。お困りの方の参考になればと嬉しいです。

2019.10.11 | パニック症・パニック障害・広場恐怖症,医師のこと・医院のこと,心療内科,精神科治療について

同僚にADHDではないかと言われた

「ここ最近、ケアレスミスが増えているから、ADHDではないか」と上司や同僚に言われたとおっしゃって受診される方が多くおられます。

 社会人になって数年程の方の場合には実際にADHDであることが多いですが、長らく同じ会社で働いておられる方の場合では話が変わってきます。

 というのも、ADHDの症状は基本的には幼少期からずっと続いているものだからです。学生時代に「落ち着きがなく、じっとしていられない」「学校の提出物を忘れることが多かった」「朝の準備に手間取り、遅刻してしまうことが多かった」などの症状があったのであれば、大人になってからもADHDの症状が残存している可能性は十分あります。

 しかし、そのような過去のエピソードがなく、そのうえ社会人になって長年経っている方で、同僚に「最近不注意なミスが多いからADHDではないか」と言われた、あるいはご自身で「最近ケアレスミスが増えたからADHDではないか」と疑われた場合は、ADHDでないかもしれません。

 不注意をきたす疾患はいろいろありますが、このようなケースで一番多いのは、うつ病です。うつ病でも、集中力や注意力低下がすることで、不注意症状がよく出てくるからです。ほかにも、認知症などでも不注意症状はでてきますので注意は必要ですが、ご高齢でなく、働く世代であれば、当然うつ病である可能性の方が高いです。

 不注意をきたす病気は、ADHDだけでなく、うつ病や認知症など他にもあることを今回はお書きしました。お困りの方の、受診の際の参考になればと嬉しいです。

 

2019.10.10 | ADHD,うつ病・躁うつ病,医師のこと・医院のこと,心療内科