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コラム

双極性障害のうつ状態の特徴

 躁うつ病と言えばどんな病気かはイメージができると思いますが、双極性障害はイメージできるでしょうか。

 躁うつ病は明らかな躁状態と明らかなうつ状態を繰り返す病気のことですが、双極性障害はそれよりも広い概念でもっと軽い病状も含んだ診断名です。

 双極性障害には、症状が激しい順に、双極Ⅰ型障害、双極Ⅱ型障害、気分循環性障害などがあります。

 双極Ⅰ型障害は、躁うつ病のように激しい気分変動があるため、診断が間違われることはあまりありませんが、双極Ⅱ型障害や気分循環性障害などは見逃されやすい病気です。

 理由はいくつかあります。軽い躁状態は自分のなかで異常なものとは認識しにくいだけでなく、その爽快な状態を自身の本調子として自覚しておられます。そのため、主治医がうまく聞き出さないと、ご本人から軽躁状態の話が挙がることが少ないことが挙げられます。また、軽い気分変動の場合には、しっかり記録をつけて振り返らないと自分の波に気がつくことが難しかったりもします。特に女性の場合は月経関連の不調もあるのでさらにわかりにくく、月経の波か他の波なのか判別しにくいものです。

 躁状態や軽躁状態以外にも、双極性障害の方の特徴があります。ここでは、あえて二つだけ、ご本人にも比較的わかりやすいものをお話しします。

 一つ目は、うつ状態のときの睡眠と食事についてです。普通の単極性うつ病では「寝れない」「食べれない」というのが通常ですが、「寝すぎる」「食べ過ぎる」など非典型的なうつ状態の方は、将来双極性障害になっていく可能性があります。双極性の方が皆、過食と過眠をきたすわけではありませんが、典型的な単極性うつ病の方に比べて、このような傾向が目立ちます。

 二つ目は、気分反応性というものです。どんな人でも、良いことがあれば嬉しくなり、悪いことがあれば悲しくなる。人間として正常な心理活動ですが、非定型うつ病の方には、喜怒哀楽などの心理反応が過剰に表れやすいと言われています。これを「気分反応性が高い」と言います。双極性障害の方にも、このような特徴を持ち合わせている方がおられます。良いことには容易にハイテンションとなり、悪いことには絶望的に落ち込む。このような明らかに過剰な情動変化を見つけたときにも今後の経過に注意が必要です。

 「新型うつ病」という休日には元気になるといううつ病があります。これは医学的な診断名ではありませんが、昨今注目されているものです。多くは適応障害の類いであると思われますが、非定型うつ状態の方も前述の気分反応性の高さによって、新型うつ病のように見えることがあります。好きなことには元気がでてしまうため、休日に動けてしまうからです。そのため、新型うつ病と思われている方のなかに双極性障害が隠れていることがあります。

 ここでは、過食と過眠、気分反応性について触れました。双極性障害には、他にも、うつ状態の持続期間の長さ、発症年齢の若さ、抗うつ薬で躁転、家族歴がある、産後うつ病、季節性があるなどの双極性障害を疑うポイントがありますので、別の機会で触れればと思います。