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コラム

「 社交不安障害(SAD)」の記事一覧

社交不安障害(SAD)の治療について

社交不安障害(SAD)の治療には、薬物療法と心理療法があります。

  

薬物療法は、SSRIというタイプの抗うつ薬や、抗不安薬を用います。抗うつ薬は、効果が出るまでに時間がかかりますが、効果がでてくると不安を感じにくくなっていきます。抗うつ薬で効果が足りない場合には、抗不安薬を適宜使用しますが、抗不安薬は依存性があるので、使用する頻度には気をつける必要があります。症状が比較的軽い場合には、漢方薬で治療できることもあります。

 

発表やプレゼンなど、明らかに大勢から視線を感じる場面だけに症状がでるの場合は、「パフォーマンス限局型社交不安障害」といって、交感神経を抑えるβブロッカーという薬や抗不安薬を頓服として使うだけで治療することになります。

  
心理療法としては、不安や恐怖に向き合えるように不安の対処法を身につけていきます。症状が一定程度以上だと、心理療法だけは治療が難しいので、薬物療法によって不安恐怖とそれに続発する身体症状を抑えたうえで、不安状況に慣れる訓練を少しずつおこない、克服をめざしていきます。

社交不安障害(SAD)ってなに?

社交不安障害(SAD)とは、不安障害の一種で、人に見られている場面で何かをすることを過剰に恐れてしまう病気です。昔であれば、対人恐怖、視線恐怖、あがり症、赤面症と言われていたような状態のことを指します。

 

人前で喋ったり、字を書いたり、食事をしたり、会議で発表したり意見を言う、大勢での食事で会話する、上司やあまり面識のない人との会話する、試験や仕事の面接を受ける、人が大勢いるところで電話に出る、などの場面で、「恥をかくなど自分が恥ずかしい思いをするのではないか」と非常に心配してしまい、その結果、顔がひきつったり、赤くなったり、ドキドキしたり、汗をかいたり、手が震えたりします。 

腹痛下痢、嘔気などの消化器症状が強く現れる方もいます。過敏性腸症候群の背景に、強い社交不安症が隠れていることも結構あります。

このような症状が続くと、「人前になるとまた症状が出てしまうのではないか」という恐怖が強くなってしまい、実際そのような状況になると、案の定「なんか動悸がしてきた。前みたいに声が震えるんじゃないか、またうまくしゃべれないんじゃないか」と不安が助長され、自分をどんどん追い込んでしまいます。

 

このような悪循環が続くと、人が集まる場所を避けるようになります。ひどい場合には、学校や仕事に行けないなどの社会生活に大きな支障を抱えてしまうこともあるので、注意が必要です。