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マインドフルネスから見える、東洋と西洋の違い

マインドフルネス瞑想をしていると、「感情と思考に常に振り回され、反射的に反応をしていること」に気づきます。

 

西洋の心理療法では、感情や思考に振り回されていることに対して、論理的にその心の動きを制御しようとします。

 

それに対して、東洋では、論理よりも感覚的です。身体感覚に近いかたちで、思考と感情と付き合っていきます。心の動きの原因を論理的に追及せず、そのままその心の動きを手放していきます。

  
仏教では四苦というものがありますが、老病死だけでなく、生、つまり生きることも苦と考えます。

 

もちろん、生きるうえでの苦労は尽きませんが、苦労だけでなく、快楽に反応することも苦と考えます。快楽は求めれば求めるほど、次の快楽を欲してしまい、このループも苦なのです。

  

そのため「こころの動きに反応しない生き方」を説いています。

  

反応しないとは行動に移さないことだけでなく、浮かんできた思考や感情をもコントロールしようとせず手放していくことが、本当に反応しないということになります。

  

西洋発の心理療法ももちろん必要ですし、とても役立つものです。その一方で、心の動きと付き合ながらうまく手放していく東洋的なアプローチも大変有用です。

    

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マインドフルネス瞑想の簡単な始め方

日本では瞑想というと「なんかよくわからない。スピリチュアルで怪しい」と感じる方が今もおられますが、米国ではランニングのような健康法の一つのようになってきています。

 

まず簡単に始めるなら、息をひたすら観察し続ける、呼吸の瞑想を試してみるのがよいと思います。

 

最初は、数分も経たないうちに、思考に意識を持っていかれてしまい、呼吸の観察が途切れてしまいます。これはマインドワンダリングと言い、心の迷走やモンキーマインドとも呼ばれます。

 

諦めずに続けていくと、少しずつ呼吸への注意が続くようになってきます。そのうち、呼吸を観察するように、思考や感情も客観的に観察できるようになってくるでしょう。ここで、大事なのは、思考や感情に反応せず、静かな心でそれらを手放していくことです。

 

そして、この呼吸の瞑想を毎日の習慣にすることがとても大切です。

  

テーラワーダ仏教僧や禅僧のような穏やかさを手に入れるのはなかなか難しいかもしれませんが、続けていれば多少でも情緒が乱れにくくなるなどの効果を感じるようになると思います。

  

ヨガは、体を動かす瞑想と言えます。体を動かす方が得意な方は、ヨガから初めてみるのもよいでしょう。

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マインドフルネスってなあに?

ここ数年、マインドフルネスという言葉を聞くことがより一層増えて、聞いたことのない人はいないのではないでしょうか。

 

”be mindful”は、「注意を払う」「気を配る」という意味で使われます。

 

この”mindful”の名詞形である、”mindfulness”は、19世紀後半にイギリスの東洋学者が、パーリ語(古代インドの言語)の”sati”を英訳した際に使われました。"sati”は、「心をとどめておくこと」や「心にとどめておかせるはたらきとしての注意力」という意味を持ちます。

 

それから半世紀以上がすぎた1954年に、テーラワーダ仏教僧のニヤーナポニカ・テラが「仏教瞑想の核心:ブッダのマインドフルネスに基づく精神修養ハンドブック」という本を出版しました。題名の通り、マインドフルネスを仏教瞑想の核心として据えています。本のなかで、マインドフルネスは「最小限のありのままの注意(bare attention)」であり、なにも神秘的なものではないと断ってあります。

 

その後、西洋ではマインドフルネスを「ありのままの注意」として扱われるようになりました。そして、ブッダが行っていた初期仏教の瞑想法であるヴィパッサナー瞑想と呼ばれる「洞察瞑想」と、マインドフルネス瞑想が同一視されるようになっていきました。

  

マインドフルネスという言葉が日の目を見る最も大きな契機は、ジョン・カバットジンによる「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」という治療プログラムによって、その効果が実証されたことです。MBSRは、マインドフルネス瞑想とヨガを組み合わせたような治療パッケージです。1985年に、慢性疼痛患者90人に対して、MBSRが実施され、コントロール群に比べ、痛み、不安、抑うつが改善されたと報告されました。追試によっても、この効果は実証されています。乾癬、高血圧、不安・パニック障害などでも、症状が改善されたという報告がなされています。

 

さらに、このMBSRをベースとした「マインドフルネス認知療法(MBCT)」が、うつ病の治療や再発予防に効果を上げています。

 

また、「マインドフル・セルフ・コンパッション」という、2010年にクリストファー・ ガーマー、 クリスティン・ネフによって開発された集団心理教育も、最近ではよく知られるようになってきました。

 

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