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本当に寝れていない?
必要な睡眠時間というのは、年齢とともに減少していきます。
そのため、若いころのように寝れなくなったといっても、それは生理的に正常であることがあります。
睡眠時間の大体の目安です。
25歳・・・7.0時間
45歳・・・6.5時間
65歳・・・6.0時間
85歳・・・5.5時間
あくまでも目安であるため、適正な睡眠時間は個人差はありますが、加齢によって睡眠時間が減少してくるの事実は変わりません。
ご高齢の方は、自分の求める睡眠時間と生理的に必要な睡眠時間との間にミスマッチが起こりやすくなります。
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眠気と睡眠のリズムについて
今日は、眠気と睡眠のリズムについて、簡単に説明します。説明には、二過程モデルというものを用います。
まずは、概日リズム、いわゆる体内時計について触れます。
この概日リズムは、睡眠と覚醒の制御において非常に重要なものです。
概日リズムは、サーカディアンリズムとも言い、サーカ(約=概)とディアン(1日=24時間)をつなげたもので、約24時間リズムという意味です。
この概日リズムは、外部の明暗環境が一定でも、大体24時間に保たれます。脳の中の視交叉上核というところがこの体内時計を調節し、光で調整されます。この視交叉上核の一つ一つの細胞に時計があることがわかり、今では体のどの細胞にもこの時計があることがわかっています。
この概日リズムによる眠気は、昼過ぎに小さな山ががあり、その後眠気はなくなり、夕方にまた小さいな山があり、寝る頃に大きな山がきて、朝までその山が続きます。そして、朝起きると、眠気はなくなり、また昼過ぎに小さな山があり、、、、と毎日繰り返されます。
概日リズムは朝にリセットする必要があるので、朝日を毎朝ちゃんと浴びることが重要になります。
朝に起き、夜の程よい時間に寝ることができている人は、この体内時計が保たれているということです。
しかし、昼まで寝ることを繰り返していると、体内時計がずれてしまいます。とくに、遮光カーテンを閉めきって寝ていると、体内時計はずれやすくなります。
昼間まで寝ていたとしても、日光が入る部屋であれば、瞼を通して光が少しでも入っていれば、概日リズムはずれにくいと言われています。
睡眠と覚醒のリズムに関して、もう一つ重要なのものは、睡眠負債です。
睡眠負債というのは、文字の通り、睡眠の借金です。
覚醒している状態が続くと、睡眠の借金は徐々に増えていきます。
「寝だめ」という言葉があります。しかし、実際には睡眠を貯めておくことはできず、マイナスになった睡眠の借金を返済することしかできません。
概日リズムの眠気に加えて、睡眠負債による眠気が溜まってきて、夜の眠気が出てきます。
言い換えると、実際に感じる眠気は、先に述べた概日リズムによる眠気と睡眠負債による眠気を足し合わせたものということです。
徹夜明けでも頭がスッキリと起きてくるのは、朝になって睡眠負債は積み重なっていくにもかかわらず、概日リズムによる眠気がなくなるからです。
時差ぼけも、このモデルで説明できます。
この二過程モデルは、眠気の細かな複雑な変化を説明できない難点はあるようですし、情動の影響による眠気の減少などは無視していますが、大まかな説明はできると言われています。
睡眠で困った際には、今回の話をイメージしてみると、解決策がわかることもあるかもしれません。
もちろん、睡眠や精神の病気による睡眠障害は、このモデルでは説明できまませんので、生活は規則正しくしているけれども、睡眠がとれないというときには相談していただければと思います。
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不眠とその原因について
睡眠のトラブルは、いろいろな要因によっておこってきます。身体の疾患や、心理的要因、薬の影響、精神疾患によるものなどいろいろな原因が不眠をきたします。
そして、その原因によって最初にどのように治療していくかが決まります。治療すべき原因があるにもかかわらず、初期の治療を間違えると効果が不十分なだけでなく、残念ながら睡眠薬の依存に至ってしまうこともあります。
では、不眠にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は、大きく4種類に分けました。
- 身体の疾患からの不眠
- 体内時計のずれ
- 精神疾患
- 原発性の不眠症
原因がはっきりしているものを①~③として最初に挙げて、他に原因がないものを④として最後にしました。
①の代表的なものには、むずむず足症候群、周期性四肢運動障害、睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。これらの疾患には、従来の睡眠薬を投与するよりもそれぞれの疾患に対する治療が優先されます。
②のなかで多いものに、若年者には睡眠相後退、高齢者には睡眠相前進による概日リズムの障害があります。これらの体内時計の問題も、従来の睡眠薬ではなく、生活の改善や、高照度光療法、メラトニン受容体作動薬などの治療を行います。
③の精神疾患の場合も、さまざまな睡眠困難が出現します。睡眠の確保も並行して行うこともありますが、基本的には精神疾患そのものの治療を優先して行っていきます。また、精神疾患の治療中に薬による睡眠困難が出現することもあります。たとえば、抗うつ薬の副作用として睡眠困難が起こったり、抗精神病薬や抗うつ薬の副作用のむずむず足症候群やアカシジアによって睡眠困難に至ったりすることもあるので注意が必要です。
④のように、他に原因がないような場合を原発性不眠症と言います。まずは睡眠に悪いことをしないように生活の改善を試みます。そして、不眠の程度に応じて睡眠薬を使用していきます。従来の睡眠薬は依存性があり注意が必要ですが、最近では依存性が少ない睡眠薬も登場しています。睡眠薬の依存にならないためには、実生活での悪循環の要因を減らしながら、通院のたびに実現可能な目標を設定しなら、徐々に薬を回数を減らしていくことが大変重要です。
今回は不眠についてごく簡単に触れましたが、またどこかで詳しく触れれればと思っております。
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