ADHDにおける幼少期のエピソードついて
ADHDの診断において、幼少期のエピソードを確認することはとても重要です。
ご本人からの情報も大事ですが、より客観的な情報が得られるように母などの養育者からの聞き取りも重要になります。
しかし、ご本人が大人の場合には、育児期から随分時間が経っており養育者の記憶が曖昧になっていたり、養育者が障害を否認したい気持ちが強く正確な情報が得られなかったり、親との関係不良で情報聴取ができなかったり、などが多くあるのが現状です。
小学校の通知表から情報も重要になります。成績から知的能力を見るだけでなく、担任の先生からのコメントが診断の手がかりになります。最近では直接的に改善すべき点を書かないことが多くなっていますが、「今学期は遅刻や忘れ物が減っていて素晴らしいです」などと褒め言葉としての記載からその頃の様子をイメージすることができることも多くあります。
養育者からの情報が得られない、通知表もない、話すことが苦手で困りごとを言葉にできない、などの場合には、診断が困難になることがあります。
自記式の心理検査、知能検査(WAIS-Ⅳ)、ほか注意力を測る検査などを組み合わせていきますが、あくまで心理検査は参考材料の一つであり、検査結果のみで診断することはできません。
情報が少なく診断が難しい場合には、通院を続けて診察を重ねるなかで、次第に集まってきた情報をもとに総合的に判断していくことになります。
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