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ADHDで見られやすいWAIS-Ⅳの所見

   

   
大人のADHD診断において、WAIS-IV(ウェクスラー式知能検査)は、本人の「得意・不得意」を客観的に把握し、生活上の困りごとの背景を探るために非常に重要な役割を果たします。

 

  

①指標間の大きなばらつき(ディスクレパンシー)
  

ADHDの方の多くに、4つの主要指標(言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度)の間で、15点以上の統計的に有意な差が見られます。
 

「できること」と「できないこと」の差が激しく、全体的な知能(FSIQ)が高くても、特定の分野の弱さが足を引っ張ってしまいます。

 
それによって、 周囲からは「能力があるのに怠けている」と誤解されやすく、本人も「なぜか上手くいかない」という強い生きづらさを感じやすくなります。

    

  

②ワーキングメモリー(WMI)と処理速度(PSI)の低下

  
ADHDの最も顕著な特徴として、WMI(ワーキングメモリー)やPSI(処理速度)が、他の指標(言語理解や知覚推理)に比べて低く出る傾向があります。

  
WMIの弱さは、 脳の「実行機能(情報を一時的に保持し、整理する力)」の弱さを反映しており、口頭指示を忘れる、マルチタスクが苦手、集中力が続かないといった症状に直結します。


PSIの弱さは、 視覚情報を素早く正確に処理する力の弱さを示します。事務作業が遅い、ケアレスミスが多いといった支障が生じやすくなります。

  

 

③「GAI(一般的知的能力)」と「CPI(認知習熟度)」の乖離

  
思考力や理解力を示すGAI(言語理解+知覚推理)が高くても、脳の効率性を示すCPI(ワーキングメモリー+処理速度)が低い場合、いわゆる「エンジンは高性能なのに、タイヤやトランスミッションが空回りしている」ような状態になります。

  
知能検査から予想される適応レベルよりも、実際の社会生活での支障がはるかに大きくなることが、ADHD所見の重要なポイントです。

  

   

  

  

最後に、WAIS-IVの診断における位置づけです。

  
WAIS-IVの結果だけでADHDと確定診断されるわけではありません。

   

自閉スペクトラム症(ASD)ほど極端な凸凹が見られないケースもあります。

   

しかし、検査結果を「実際の生活で何に困っているか」という事実と照らし合わせることで、診断の精度を高め、より具体的な支援策を立てるための不可欠なツールとなります。

 

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