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コラム

PMS/PMDDについて①

 当院では漢方治療を積極的に行っているため、月経前の不調で困ってらっしゃる方が多くお見えになります。

 そのため、PMS(月経前症候群)とPMDD(月経前不快気分障害)について説明していきたいと思います。

 PMS/PMDDの症状出現の明確なメカニズムはわかっていませんが、卵巣ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の変動が関与していると言われています。

 排卵から月経発来までの黄体期の期間に、卵巣ホルモンは多く分泌されますが、黄体期の後半になってくると卵巣ホルモンは急激に減少します。それによって、精神症状が出現することがわかってきています。

 エストロゲンは、脳内のセロトニン受容体の数を増加させたり、セロトニン活性を調節します。セロトニンは気分の調節に関与し、気持ちを安定させる作用があるため、エストロゲンが黄体後期に急激に減少することによって、情緒や気分に影響を及ぼすと言われています。

 また、プロゲステロンの代謝産物も大きく関わっていると指摘されています。プロゲステロンの代謝産物は、脳内においてGABAA受容体に結合して、抗不安作用を示します。プロゲステロンの黄体期後期の急激な減少によって、この代謝産物も同じく急激に低下するため、抗不安作用が減弱し、強い不安感などの情緒面の不調を引き起こすと言われています。

 加えて、心理社会的なストレスや生活習慣もホルモンの乱れに関与すると言われています。

 PMSとPMDDによる精神症状が起こるのは、エストロゲンと、プロゲステロンの代謝産物の変動によるわけですが、ストレスや生活習慣によってホルモンバランスが乱れて、月経前の症状が悪化することもありますので、注意が必要です。

 

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