ローディング
LINE
コラム
スクール予約

コラム記事一覧Column archives

マインドフルネス瞑想の簡単な始め方

日本では瞑想というと「なんかよくわからない。スピリチュアルで怪しい」と感じる方が今もおられますが、米国ではランニングのような健康法の一つのようになってきています。

 

まず簡単に始めるなら、息をひたすら観察し続ける、呼吸の瞑想を試してみるのがよいと思います。

 

最初は、数分も経たないうちに、思考に意識を持っていかれてしまい、呼吸の観察が途切れてしまいます。これはマインドワンダリングと言い、心の迷走やモンキーマインドとも呼ばれます。

 

諦めずに続けていくと、少しずつ呼吸への注意が続くようになってきます。そのうち、呼吸を観察するように、思考や感情も客観的に観察できるようになってくるでしょう。ここで、大事なのは、思考や感情に反応せず、静かな心でそれらを手放していくことです。

 

そして、この呼吸の瞑想を毎日の習慣にすることがとても大切です。

  

テーラワーダ仏教僧や禅僧のような穏やかさを手に入れるのはなかなか難しいかもしれませんが、続けていれば多少でも情緒が乱れにくくなるなどの効果を感じるようになると思います。

  

ヨガは、体を動かす瞑想と言えます。体を動かす方が得意な方は、ヨガから初めてみるのもよいでしょう。

関連記事:マインドフルネスってなあに?マインドフルネスから見える、東洋と西洋の違い


発達障害診断後の治療について

ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥多動性障害)などの発達障害の診断を受けたあとの、医療資源の少なさが医療を提供する側の課題になっています。

 

ASDにしてもADHDにしても、特性と付き合っていくことが目標になり、ショートケアやデイケアでの専門プログラムが治療の主軸になるべきではありますが、それらを提供できる医療機関はまだまだ限られています。

 

それ以外の選択肢となると、ADHDであれば薬物療法がありますが、ASDの場合には薬物療法という選択肢がありません。

 

そのため、気分障害や不安障害などの併存症の治療を行いながら、特性が障害とならないように環境を調整していくことになります。

  

社会生活上の障害が大きい場合には、精神障碍者手帳を取得し、障碍者雇用などにて障害が顕在化しないように就労環境を整えていくことになります。それが難しい場合には、障碍者年金なども検討していくことになります。

  

関連記事:ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状ADHD(注意欠陥多動性障害)の診断治療ADHDで見られやすいWAIS-Ⅳの所見ADHDにおける幼少期のエピソードついて対人関係のトラブルにおけるASDのADHDの違い

マインドフルネスってなあに?

ここ数年、マインドフルネスという言葉を聞くことがより一層増えて、聞いたことのない人はいないのではないでしょうか。

 

”be mindful”は、「注意を払う」「気を配る」という意味で使われます。

 

この”mindful”の名詞形である、”mindfulness”は、19世紀後半にイギリスの東洋学者が、パーリ語(古代インドの言語)の”sati”を英訳した際に使われました。"sati”は、「心をとどめておくこと」や「心にとどめておかせるはたらきとしての注意力」という意味を持ちます。

 

それから半世紀以上がすぎた1954年に、テーラワーダ仏教僧のニヤーナポニカ・テラが「仏教瞑想の核心:ブッダのマインドフルネスに基づく精神修養ハンドブック」という本を出版しました。題名の通り、マインドフルネスを仏教瞑想の核心として据えています。本のなかで、マインドフルネスは「最小限のありのままの注意(bare attention)」であり、なにも神秘的なものではないと断ってあります。

 

その後、西洋ではマインドフルネスを「ありのままの注意」として扱われるようになりました。そして、ブッダが行っていた初期仏教の瞑想法であるヴィパッサナー瞑想と呼ばれる「洞察瞑想」と、マインドフルネス瞑想が同一視されるようになっていきました。

  

マインドフルネスという言葉が日の目を見る最も大きな契機は、ジョン・カバットジンによる「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」という治療プログラムによって、その効果が実証されたことです。MBSRは、マインドフルネス瞑想とヨガを組み合わせたような治療パッケージです。1985年に、慢性疼痛患者90人に対して、MBSRが実施され、コントロール群に比べ、痛み、不安、抑うつが改善されたと報告されました。追試によっても、この効果は実証されています。乾癬、高血圧、不安・パニック障害などでも、症状が改善されたという報告がなされています。

 

さらに、このMBSRをベースとした「マインドフルネス認知療法(MBCT)」が、うつ病の治療や再発予防に効果を上げています。

 

また、「マインドフル・セルフ・コンパッション」という、2010年にクリストファー・ ガーマー、 クリスティン・ネフによって開発された集団心理教育も、最近ではよく知られるようになってきました。

 

関連記事:マインドフルネスから見える、東洋と西洋の違いマインドフルネス瞑想の簡単な始め方

ADHD治療薬について

心理教育や環境調整などを行っても、日常生活に困難が続く場合には、薬物療法を検討します。

 

成人期の薬物療法には、精神刺激薬であるコンサータ(メチルフェニデート徐放錠)、非精神刺激薬であるストラテラ(アトモキセチン)、インチュニブ(グアンファシン)を用います。

 

精神刺激薬のコンサータ(メチルフェニデート徐放錠)は、脳内のドパミンとノルアドレナリンの働きを活性化させ、不注意、多動・衝動性を抑えて落ち着きのある行動がとれるようになり、自分の行動に注意を払えるようになります。しかし、その一方で、脳の興奮を高めるため、不安を強めたり、躁状態を惹起する可能性があり、双極性障害や不安障害には使いにくい薬剤になります。他の副作用としては、頭痛や腹痛、食欲低下(主に昼食)があります。効果は、大体半日程度で、終日は効きません。そのため、双極性障害や不安障害がなく、学校や職場での困り感が強く、昼間だけの効果が続けばよい場合には、このコンサータ(メチルフェニデート(徐放錠)を使用することになります。

 

なお、精神刺激薬は依存性のリスクがあるため、システムへの患者登録が必要で、処方医師と調剤できる薬局を許可制にするといった流通規制が敷かれています(当院ではコンサータ処方が可能です)。

  

非精神刺激薬には、ストラテラ(アトモキセチン)、インチュニブ(グアンファシン)があり、終日にわたる効果が期待できますが、一般的に精神刺激薬よりも効果はマイルドになります。

  

ストラテラ(アトモキセチン)は、脳内のノルアドレナリンとドパミンの濃度を上昇させ、前頭前野の機能を改善させることで、不注意、衝動性、多動性を改善します。効くまでに、2週間から4週間ほどの時間がかかります。終日効果が持続するので、昼間だけでなく家庭生活や睡眠の問題があるときには、よく使われます。副作用としては、鎮静、消化器症状、頻脈、血圧上昇などが起こることがあります。コンサータとは違って、不安障害や双極性障害が併存している場合にも問題なく使えます。

 

インチュニブ(グアンファシン)は、α2Aアドレナリン受容体に作用し、交感神経の過剰な働きを抑え、神経の緊張を取り去る効果を持ち、多動性や衝動性、感情面に効果があります。終日効果が持続するので、ストラテラと同様に、昼間だけでなく、家での困り感も強い場合に使用されます。副作用としては、鎮静、眠気、血圧低下などの副作用が起こることがあります。アトモキセチンほど効果が出るのに時間はかかりません。副作用の眠気は、飲み初めに強く出ることがあるため、慣れるまで(大体2~4週間)は我慢して続けてみましょうとアドバイスしています。

  

対人関係のトラブルにおけるASDのADHDの違い

ASD(自閉スペクトラム症)でもADHD(注意欠陥多動性障害)でも、対人関係のトラブルで困っていらっしゃる方は多いと思います。しかし、その背景には違いがあります。

 

ASDの方は、相手の思考や感情が直観的に理解できないので、場にそぐわない言動、いわゆる空気が読めない言動をしてしまい、対人トラブルになってしまいます。

 

その一方で、ADHDの方は、相手の思考や感情は理解できるものの、その衝動性の高さから、思ったことをそのまま口に出してしまい、トラブルになりやすくなります。

  

ASDとADHDは併存していることも少なくないので、その場合は両方の特性によって、それぞれ単独の場合よりもさらに対人トラブルを招きやすく、生きづらさを抱えてしまいます。

 

対人トラブルによる否定的な体験を繰り返していくと、「よくわからないけど、だいたい私の言動は間違っている」と思いこむようになります。 

 

そして、対人恐怖から社会生活が怖くなってしまう場合もあれば、失敗しないために高い行動基準に従って行動して疲弊してしまう場合もあります。

  

対人的な心的外傷によってトラウマ症状で苦しんだり、過剰適応によって気分障害や不安障害を来たしたり、などの二次障害が合併してくると、その治療も併せて行っていく必要がでてきてしまいます。

  

関連記事:ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状ADHD(注意欠陥多動性障害)の診断治療ADHDで見られやすいWAIS-Ⅳの所見ADHDにおける幼少期のエピソードついて

ADHDにおける幼少期のエピソードついて

ADHDの診断において、幼少期のエピソードを確認することはとても重要です。

 

ご本人からの情報も大事ですが、より客観的な情報が得られるように母などの養育者からの聞き取りも重要になります。

 

しかし、ご本人が大人の場合には、育児期から随分時間が経っており養育者の記憶が曖昧になっていたり、養育者が障害を否認したい気持ちが強く正確な情報が得られなかったり、親との関係不良で情報聴取ができなかったり、などが多くあるのが現状です。

 

小学校の通知表から情報も重要になります。成績から知的能力を見るだけでなく、担任の先生からのコメントが診断の手がかりになります。最近では直接的に改善すべき点を書かないことが多くなっていますが、「今学期は遅刻や忘れ物が減っていて素晴らしいです」などと褒め言葉としての記載からその頃の様子をイメージすることができることも多くあります。

 

養育者からの情報が得られない、通知表もない、話すことが苦手で困りごとを言葉にできない、などの場合には、診断が困難になることがあります。

 

自記式の心理検査、知能検査(WAIS-Ⅳ)、ほか注意力を測る検査などを組み合わせていきますが、あくまで心理検査は参考材料の一つであり、検査結果のみで診断することはできません。

 

情報が少なく診断が難しい場合には、通院を続けて診察を重ねるなかで、次第に集まってきた情報をもとに総合的に判断していくことになります。

 

関連記事:ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状ADHD(注意欠陥多動性障害)の診断治療ADHDで見られやすいWAIS-Ⅳの所見対人関係のトラブルにおけるASDのADHDの違い発達障害診断後の治療について

ADHDで見られやすいWAIS-Ⅳの所見

大人のADHDの診断において、ほとんどの場合WAIS-Ⅳというウェクスラー式知能検査を行います。

 

ADHDの場合には、自閉スペクトラム症のような知的能力の顕著な凸凹は少ないですが、ワーキングメモリーや処理速度の低下を伴うことが多いことが一つの特徴です。

 

また、それに加えて、知能検査から予想される社会での適応レベルよりも、実際の生活で大きな支障がでていることも、もう一つの重要な所見といえます。

  

ADHD診断に際して、WAIS-Ⅳはあくまで補助的な位置づけではありますが、診断を行ううえでとても重要な検査と言えます。

 

関連記事:ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状ADHD(注意欠陥多動性障害)の診断治療ADHDにおける幼少期のエピソードついて対人関係のトラブルにおけるASDのADHDの違い

マタニティーブルーズ症候群

マタニティブルーズという言葉を聞いたことがあるでしょうか。出産を終えたことによる急激なホルモンバランスの変化と考えられています。

妊娠中は妊娠していないときに比べて、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが大量に分泌されています。

そして、出産を終えると妊娠を維持するために大量に分泌されていたエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が急激に減少し、ほぼゼロの状態となります。

このような急激なホルモンバランスの変化が自律神経のはたらきにも影響を与えて、精神的に不安定な状態を引き起こすと考えられています。

たどそれだけではなく、分娩の疲労、不眠、母親になる責任感、慣れない育児なども、もちろん影響します。

とくに、初めて妊娠・出産を経験した女性や、もともと精神的な不調があった女性、支援が少ない女性もマタニティブルーズを経験しやすい特徴があります。

期間については、マタニティブルーズ症候群は1~2週間程度で自然と改善していきます。しかし、産後2週間以上続く気分の落ち込みでは産後うつ病が疑われますので、注意が必要です。うつ状態が長引く場合には、早めに医療機関で相談されるのがよいでしょう。

適応障害について

適応障害とは 、自分が置かれている環境にうまく慣れることが出来ず、抑うつ症状、不安症状、腹痛や嘔気、動悸などの身体症状が出現し、不登校や出勤困難に至るといった社会生活に支障をきたす状態です。

 

適応障害は様々な原因で起こりえますが、特に就学や就職、転職、結婚、離婚など、生活環境が大きく変わった際に発症しやすいと言われています。

 

治療は、ストレスの対処法を学んだり、環境を調整したりすることがメインになりますが、症状によっては抗うつ薬や抗不安薬による薬物療法なども選択肢になります。環境調整に当たっては、主治医が環境調整のための診断書を作成することもあります。また、症状や状況によっては、休職し、心身の不調を整えながら、復職に向けて会社には部署異動や配置転換等の環境調整をおこなってもらうこともあります。

 

適応障害にいたるケースも様々あります。環境の原因が大きいケースであれば、環境の調整のみによって症状は改善し、その後も経過は良好となりやすいですが、一見適応障害に見えても、よくよく診察していくと、背景に不安障害が隠れていてその不安症状により精神的なストレスが倍増しているようなケース、背景に発達障害(グレーソーンも含め)が隠れており対人関係や業務遂行に支障をきたしているケースなどもあり、その場合はそれぞれのアセスメントとそれに対しての治療を行っていく必要があるため注意が必要です。

強迫性障害(OCD)ってどんな病気?

「ドアの鍵を閉め忘れてないかな」「ガスの栓は閉めたかな」「水を出しっぱなしにしてないかな」など誰でも経験があると思いますが、このような戸締り、水栓、火の元などを何度も何度も繰り返して、確認せざるを得なくなってしまう病気が、この強迫性障害になります。

 

自分では不合理だと思っていても、そのことが頭から離れず、何度も繰り返してしまいます。確認を繰り返せば繰り返すほど、次にはその不安が増強され、さらに確認をせざるを得ない状況となり、強迫症状が強くなっていってしまいます。

 

戸締まりや水栓、火の元の確認だけでなく、「不潔が怖くて手洗いがやめられない」、「特定の数字が怖い、何か不吉な感じがする」「人に危害を加えてしまうのではないだろうか」など不潔恐怖や加害恐怖なども強迫性障害の症状です。

 

意志に反して頭に浮かんで払いのけられない考えを強迫観念と言い、それによって引き起こされる行動を強迫行為といいます。強迫観念が止まらず、強迫行為に多大な時間をかけていくことで、生活に支障が出てしまいます。一日の大半を強迫行為に当ててしまうほど症状が悪化してしまうこともあります。

 

世界保健機関(World Health Organization:WHO)の報告では、生活上の機能障害をひきおこす10大疾患の一つとして、強迫性障害が挙げられています。

強迫性障害(OCD)が疑われる方は、生活に不便を感じる前に、早めに医療機関に相談してみましょう。