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ADHDにおける幼少期のエピソードついて

ADHDの診断において、幼少期のエピソードを確認することはとても重要です。

 

ご本人からの情報も大事ですが、より客観的な情報が得られるように母などの養育者からの聞き取りも重要になります。

 

しかし、ご本人が大人の場合には、育児期から随分時間が経っており養育者の記憶が曖昧になっていたり、養育者が障害を否認したい気持ちが強く正確な情報が得られなかったり、親との関係不良で情報聴取ができなかったり、などが多くあるのが現状です。

 

小学校の通知表から情報も重要になります。成績から知的能力を見るだけでなく、担任の先生からのコメントが診断の手がかりになります。最近では直接的に改善すべき点を書かないことが多くなっていますが、「今学期は遅刻や忘れ物が減っていて素晴らしいです」などと褒め言葉としての記載からその頃の様子をイメージすることができることも多くあります。

 

養育者からの情報が得られない、通知表もない、話すことが苦手で困りごとを言葉にできない、などの場合には、診断が困難になることがあります。

 

自記式の心理検査、知能検査(WAIS-Ⅳ)、ほか注意力を測る検査などを組み合わせていきますが、あくまで心理検査は参考材料の一つであり、検査結果のみで診断することはできません。

 

情報が少なく診断が難しい場合には、通院を続けて診察を重ねるなかで、次第に集まってきた情報をもとに総合的に判断していくことになります。

 

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ADHDで見られやすいWAIS-Ⅳの所見

大人のADHDの診断において、ほとんどの場合WAIS-Ⅳというウェクスラー式知能検査を行います。

 

ADHDの場合には、自閉スペクトラム症のような知的能力の顕著な凸凹は少ないですが、ワーキングメモリーや処理速度の低下を伴うことが多いことが一つの特徴です。

 

また、それに加えて、知能検査から予想される社会での適応レベルよりも、実際の生活で大きな支障がでていることも、もう一つの重要な所見といえます。

  

ADHD診断に際して、WAIS-Ⅳはあくまで補助的な位置づけではありますが、診断を行ううえでとても重要な検査と言えます。

 

関連記事:ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状ADHD(注意欠陥多動性障害)の診断治療ADHDにおける幼少期のエピソードついて対人関係のトラブルにおけるASDのADHDの違い

マタニティーブルーズ症候群

マタニティブルーズという言葉を聞いたことがあるでしょうか。出産を終えたことによる急激なホルモンバランスの変化と考えられています。

妊娠中は妊娠していないときに比べて、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが大量に分泌されています。

そして、出産を終えると妊娠を維持するために大量に分泌されていたエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が急激に減少し、ほぼゼロの状態となります。

このような急激なホルモンバランスの変化が自律神経のはたらきにも影響を与えて、精神的に不安定な状態を引き起こすと考えられています。

たどそれだけではなく、分娩の疲労、不眠、母親になる責任感、慣れない育児なども、もちろん影響します。

とくに、初めて妊娠・出産を経験した女性や、もともと精神的な不調があった女性、支援が少ない女性もマタニティブルーズを経験しやすい特徴があります。

期間については、マタニティブルーズ症候群は1~2週間程度で自然と改善していきます。しかし、産後2週間以上続く気分の落ち込みでは産後うつ病が疑われますので、注意が必要です。うつ状態が長引く場合には、早めに医療機関で相談されるのがよいでしょう。

適応障害について

適応障害とは 、自分が置かれている環境にうまく慣れることが出来ず、抑うつ症状、不安症状、腹痛や嘔気、動悸などの身体症状が出現し、不登校や出勤困難に至るといった社会生活に支障をきたす状態です。

 

適応障害は様々な原因で起こりえますが、特に就学や就職、転職、結婚、離婚など、生活環境が大きく変わった際に発症しやすいと言われています。

 

治療は、ストレスの対処法を学んだり、環境を調整したりすることがメインになりますが、症状によっては抗うつ薬や抗不安薬による薬物療法なども選択肢になります。環境調整に当たっては、主治医が環境調整のための診断書を作成することもあります。また、症状や状況によっては、休職し、心身の不調を整えながら、復職に向けて会社には部署異動や配置転換等の環境調整をおこなってもらうこともあります。

 

適応障害にいたるケースも様々あります。環境の原因が大きいケースであれば、環境の調整のみによって症状は改善し、その後も経過は良好となりやすいですが、一見適応障害に見えても、よくよく診察していくと、背景に不安障害が隠れていてその不安症状により精神的なストレスが倍増しているようなケース、背景に発達障害(グレーソーンも含め)が隠れており対人関係や業務遂行に支障をきたしているケースなどもあり、その場合はそれぞれのアセスメントとそれに対しての治療を行っていく必要があるため注意が必要です。

強迫性障害(OCD)ってどんな病気?

「ドアの鍵を閉め忘れてないかな」「ガスの栓は閉めたかな」「水を出しっぱなしにしてないかな」など誰でも経験があると思いますが、このような戸締り、水栓、火の元などを何度も何度も繰り返して、確認せざるを得なくなってしまう病気が、この強迫性障害になります。

 

自分では不合理だと思っていても、そのことが頭から離れず、何度も繰り返してしまいます。確認を繰り返せば繰り返すほど、次にはその不安が増強され、さらに確認をせざるを得ない状況となり、強迫症状が強くなっていってしまいます。

 

戸締まりや水栓、火の元の確認だけでなく、「不潔が怖くて手洗いがやめられない」、「特定の数字が怖い、何か不吉な感じがする」「人に危害を加えてしまうのではないだろうか」など不潔恐怖や加害恐怖なども強迫性障害の症状です。

 

意志に反して頭に浮かんで払いのけられない考えを強迫観念と言い、それによって引き起こされる行動を強迫行為といいます。強迫観念が止まらず、強迫行為に多大な時間をかけていくことで、生活に支障が出てしまいます。一日の大半を強迫行為に当ててしまうほど症状が悪化してしまうこともあります。

 

世界保健機関(World Health Organization:WHO)の報告では、生活上の機能障害をひきおこす10大疾患の一つとして、強迫性障害が挙げられています。

強迫性障害(OCD)が疑われる方は、生活に不便を感じる前に、早めに医療機関に相談してみましょう。

全般性不安障害(GAD)について

毎日の生活の中で漠然とした不安や心配がとまらず、ずっとその漠然とした不安に囚われてしまう病気です。

不安だけならいいのですが、尽きることない不安が続くことにより、常に体がこわばり、疲労倦怠感、動悸、眩暈、不眠も併発して、その不調がさらに不安を惹起するといった悪循環に入り込んでしまいます。

全般性不安障害の方が抱える不安は、過剰で、思うようにコントロールできません。

「自分や家族に何か恐ろしいことが起きるのではないか」と絶えず心配してしまいます。

そのため、いつも落ち着かず、些細なことで不安になり過敏に反応してしまうため、物事に集中することができません。

過剰な不安や心配を感じている状態が6ヶ月以上続いており、不安や心配がない日よりある日のほうが多い方は、受診を検討されてもよいと思います。

社交不安障害(SAD)の治療について

社交不安障害(SAD)の治療には、薬物療法と心理療法があります。

  

薬物療法は、SSRIというタイプの抗うつ薬や、抗不安薬を用います。抗うつ薬は、効果が出るまでに時間がかかりますが、効果がでてくると不安を感じにくくなっていきます。抗うつ薬で効果が足りない場合には、抗不安薬を適宜使用しますが、抗不安薬は依存性があるので、使用する頻度には気をつける必要があります。症状が比較的軽い場合には、漢方薬で治療できることもあります。

 

発表やプレゼンなど、明らかに大勢から視線を感じる場面だけに症状がでるの場合は、「パフォーマンス限局型社交不安障害」といって、交感神経を抑えるβブロッカーという薬や抗不安薬を頓服として使うだけで治療することになります。

  
心理療法としては、不安や恐怖に向き合えるように不安の対処法を身につけていきます。症状が一定程度以上だと、心理療法だけは治療が難しいので、薬物療法によって不安恐怖とそれに続発する身体症状を抑えたうえで、不安状況に慣れる訓練を少しずつおこない、克服をめざしていきます。

社交不安障害(SAD)ってなに?

社交不安障害(SAD)とは、不安障害の一種で、人に見られている場面で何かをすることを過剰に恐れてしまう病気です。昔であれば、対人恐怖、視線恐怖、あがり症、赤面症と言われていたような状態のことを指します。

 

人前で喋ったり、字を書いたり、食事をしたり、会議で発表したり意見を言う、大勢での食事で会話する、上司やあまり面識のない人との会話する、試験や仕事の面接を受ける、人が大勢いるところで電話に出る、などの場面で、「恥をかくなど自分が恥ずかしい思いをするのではないか」と非常に心配してしまい、その結果、顔がひきつったり、赤くなったり、ドキドキしたり、汗をかいたり、手が震えたりします。 

腹痛下痢、嘔気などの消化器症状が強く現れる方もいます。過敏性腸症候群の背景に、強い社交不安症が隠れていることも結構あります。

このような症状が続くと、「人前になるとまた症状が出てしまうのではないか」という恐怖が強くなってしまい、実際そのような状況になると、案の定「なんか動悸がしてきた。前みたいに声が震えるんじゃないか、またうまくしゃべれないんじゃないか」と不安が助長され、自分をどんどん追い込んでしまいます。

 

このような悪循環が続くと、人が集まる場所を避けるようになります。ひどい場合には、学校や仕事に行けないなどの社会生活に大きな支障を抱えてしまうこともあるので、注意が必要です。

 

 

 

ADHD(注意欠陥多動性障害)の診断治療

当院では、医師の診察でADHDが疑われる場合、90~120分間程の時間を要する心理検査を組み合わせて、診断を行っています。心理検査の予約は混みあっていますので、診断までに時間を要しますのでご了承ください。

 

ADHDの治療は、行動の改善を図り、対処法を身につけることとともに、薬物療法も治療の選択肢になります(当院ではコンサータ処方も可能です)。

 

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ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状

ADHD(注意欠陥多動性障害)は、

 

「注意を持続するのが難しい」「ケアレスミスが多い」「片づけが苦手・忘れ物が多い」などの不注意症状と、

  

「目的のない動きをする」「感情が不安定になりやすい」「過度なおしゃべりや不用意な発言」などの多動性・衝動性に特徴付けられる発達障害の一つです。

 

・物事を行なうにあたって、難所は乗り越えたのに、詰めが甘くて仕上げるのが難しいことがよくある
 

・計画性を要する作業を行なう際に、作業を順序だてるのが難しいことがよくある
 

・約束や、しなければならない用事を忘れることがよくある
 

・じっくりと考える必要のある課題に取り掛かるのを避けたり、遅らせたりすることがよくある
 

・長時間座っていなければならない時に、手足をそわそわと動かしたり、もぞもぞしたりすることがよくある

 
・まるで何かに駆り立てられるかのように過度に活動的になったり、何かせずにいられなくなることがよくある

 

上記が4項目以上当てはまる場合はADHDが疑われます。これらの症状によって、社会生活や日常生活で支障を来たしている方は受診を検討されるとよいでしょう。

  

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