ローディング
LINE
コラム

コラム記事一覧Column archives

適応障害について

適応障害とは 、自分が置かれている環境にうまく慣れることが出来ず、抑うつ症状、不安症状、腹痛や嘔気、動悸などの身体症状が出現し、不登校や出勤困難に至るといった社会生活に支障をきたす状態です。

 

適応障害は様々な原因で起こりえますが、特に就学や就職、転職、結婚、離婚など、生活環境が大きく変わった際に発症しやすいと言われています。

 

治療は、ストレスの対処法を学んだり、環境を調整したりすることがメインになりますが、症状によっては抗うつ薬や抗不安薬による薬物療法なども選択肢になります。環境調整に当たっては、主治医が環境調整のための診断書を作成することもあります。また、症状や状況によっては、休職し、心身の不調を整えながら、復職に向けて会社には部署異動や配置転換等の環境調整をおこなってもらうこともあります。

 

適応障害にいたるケースも様々あります。環境の原因が大きいケースであれば、環境の調整のみによって症状は改善し、その後も経過は良好となりやすいですが、一見適応障害に見えても、よくよく診察していくと、背景に不安障害が隠れていてその不安症状により精神的なストレスが倍増しているようなケース、背景に発達障害(グレーソーンも含め)が隠れており対人関係や業務遂行に支障をきたしているケースなどもあり、その場合はそれぞれのアセスメントとそれに対しての治療を行っていく必要があるため注意が必要です。

強迫性障害(OCD)ってどんな病気?

「ドアの鍵を閉め忘れてないかな」「ガスの栓は閉めたかな」「水を出しっぱなしにしてないかな」など誰でも経験があると思いますが、このような戸締り、水栓、火の元などを何度も何度も繰り返して、確認せざるを得なくなってしまう病気が、この強迫性障害になります。

 

自分では不合理だと思っていても、そのことが頭から離れず、何度も繰り返してしまいます。確認を繰り返せば繰り返すほど、次にはその不安が増強され、さらに確認をせざるを得ない状況となり、強迫症状が強くなっていってしまいます。

 

戸締まりや水栓、火の元の確認だけでなく、「不潔が怖くて手洗いがやめられない」、「特定の数字が怖い、何か不吉な感じがする」「人に危害を加えてしまうのではないだろうか」など不潔恐怖や加害恐怖なども強迫性障害の症状です。

 

意志に反して頭に浮かんで払いのけられない考えを強迫観念と言い、それによって引き起こされる行動を強迫行為といいます。強迫観念が止まらず、強迫行為に多大な時間をかけていくことで、生活に支障が出てしまいます。一日の大半を強迫行為に当ててしまうほど症状が悪化してしまうこともあります。

 

世界保健機関(World Health Organization:WHO)の報告では、生活上の機能障害をひきおこす10大疾患の一つとして、強迫性障害が挙げられています。

強迫性障害(OCD)が疑われる方は、生活に不便を感じる前に、早めに医療機関に相談してみましょう。

全般性不安障害(GAD)について

毎日の生活の中で漠然とした不安や心配がとまらず、ずっとその漠然とした不安に囚われてしまう病気です。

不安だけならいいのですが、尽きることない不安が続くことにより、常に体がこわばり、疲労倦怠感、動悸、眩暈、不眠も併発して、その不調がさらに不安を惹起するといった悪循環に入り込んでしまいます。

全般性不安障害の方が抱える不安は、過剰で、思うようにコントロールできません。

「自分や家族に何か恐ろしいことが起きるのではないか」と絶えず心配してしまいます。

そのため、いつも落ち着かず、些細なことで不安になり過敏に反応してしまうため、物事に集中することができません。

過剰な不安や心配を感じている状態が6ヶ月以上続いており、不安や心配がない日よりある日のほうが多い方は、受診を検討されてもよいと思います。

社交不安障害(SAD)の治療について

社交不安障害(SAD)の治療には、薬物療法と心理療法があります。

  

薬物療法は、SSRIというタイプの抗うつ薬や、抗不安薬を用います。抗うつ薬は、効果が出るまでに時間がかかりますが、効果がでてくると不安を感じにくくなっていきます。抗うつ薬で効果が足りない場合には、抗不安薬を適宜使用しますが、抗不安薬は依存性があるので、使用する頻度には気をつける必要があります。症状が比較的軽い場合には、漢方薬で治療できることもあります。

 

発表やプレゼンなど、明らかに大勢から視線を感じる場面だけに症状がでるの場合は、「パフォーマンス限局型社交不安障害」といって、交感神経を抑えるβブロッカーという薬や抗不安薬を頓服として使うだけで治療することになります。

  
心理療法としては、不安や恐怖に向き合えるように不安の対処法を身につけていきます。症状が一定程度以上だと、心理療法だけは治療が難しいので、薬物療法によって不安恐怖とそれに続発する身体症状を抑えたうえで、不安状況に慣れる訓練を少しずつおこない、克服をめざしていきます。

社交不安障害(SAD)ってなに?

社交不安障害(SAD)とは、不安障害の一種で、人に見られている場面で何かをすることを過剰に恐れてしまう病気です。昔であれば、対人恐怖、視線恐怖、あがり症、赤面症と言われていたような状態のことを指します。

 

人前で喋ったり、字を書いたり、食事をしたり、会議で発表したり意見を言う、大勢での食事で会話する、上司やあまり面識のない人との会話する、試験や仕事の面接を受ける、人が大勢いるところで電話に出る、などの場面で、「恥をかくなど自分が恥ずかしい思いをするのではないか」と非常に心配してしまい、その結果、顔がひきつったり、赤くなったり、ドキドキしたり、汗をかいたり、手が震えたりします。 

腹痛下痢、嘔気などの消化器症状が強く現れる方もいます。過敏性腸症候群の背景に、強い社交不安症が隠れていることも結構あります。

このような症状が続くと、「人前になるとまた症状が出てしまうのではないか」という恐怖が強くなってしまい、実際そのような状況になると、案の定「なんか動悸がしてきた。前みたいに声が震えるんじゃないか、またうまくしゃべれないんじゃないか」と不安が助長され、自分をどんどん追い込んでしまいます。

 

このような悪循環が続くと、人が集まる場所を避けるようになります。ひどい場合には、学校や仕事に行けないなどの社会生活に大きな支障を抱えてしまうこともあるので、注意が必要です。

 

 

 

ADHD(注意欠陥多動性障害)の診断治療

当院では、医師の診察でADHDが疑われる場合、90~120分間程の時間を要する心理検査を組み合わせて、診断を行っています。心理検査の予約は混みあっていますので、診断までに時間を要しますのでご了承ください。

 

ADHDの治療は、行動の改善を図り、対処法を身につけることとともに、薬物療法も治療の選択肢になります(当院ではコンサータ処方も可能です)。

 

関連記事:ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状ADHDで見られやすいWAIS-Ⅳの所見ADHDにおける幼少期のエピソードついて対人関係のトラブルにおけるASDのADHDの違い

ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状

ADHD(注意欠陥多動性障害)は、

 

「注意を持続するのが難しい」「ケアレスミスが多い」「片づけが苦手・忘れ物が多い」などの不注意症状と、

  

「目的のない動きをする」「感情が不安定になりやすい」「過度なおしゃべりや不用意な発言」などの多動性・衝動性に特徴付けられる発達障害の一つです。

 

・物事を行なうにあたって、難所は乗り越えたのに、詰めが甘くて仕上げるのが難しいことがよくある
 

・計画性を要する作業を行なう際に、作業を順序だてるのが難しいことがよくある
 

・約束や、しなければならない用事を忘れることがよくある
 

・じっくりと考える必要のある課題に取り掛かるのを避けたり、遅らせたりすることがよくある
 

・長時間座っていなければならない時に、手足をそわそわと動かしたり、もぞもぞしたりすることがよくある

 
・まるで何かに駆り立てられるかのように過度に活動的になったり、何かせずにいられなくなることがよくある

 

上記が4項目以上当てはまる場合はADHDが疑われます。これらの症状によって、社会生活や日常生活で支障を来たしている方は受診を検討されるとよいでしょう。

  

関連記事:ADHD(注意欠陥多動性障害)の診断治療ADHDで見られやすいWAIS-Ⅳの所見ADHDにおける幼少期のエピソードついて対人関係のトラブルにおけるASDのADHDの違い

 

定期採血について

   

定期採血についていくつかご意見をいただいたので、ここで説明させてもらうことにしました。

  

当院では、当然ながら必要性がない血液検査は行っておりません。

  

比較的頻度の多い血液検査ということは、定期採血を要する薬剤を服用されていたのではないかと推測します。

    

      

定期的に採血が必要な薬剤はいくつかありますが、最も注意を要するのがリチウムです。

   

リチウムは、双極性障害の躁状態にもうつ状態にも用いられ、数種類の他剤が無効な場合にもリチウムへの切り替えによって病状改善が得られるケースは多くあり、双極性障害の治療において欠かすことのできない代表的な治療薬になります。

   

しかし、難点があります。

  

それは、薬剤の治療用量と中毒用量と近接していることです。

   

そのため、下記資料にあるように、血中濃度と副作用の確認のために、定期的採血を行わないといけません。

   

投与初期や増量中には1週間に1回、用量が変わらない維持期は 2~3 か月に 1 回をめどに血液検査を行うことが推奨されています。

    

    

リチウム中毒(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000842885.pdf

    

リチウム添付文書
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00065672.pdf

    

     

       

他院に通院されており、リチウムを長らく服用しているのに、一度も採血をしたことがないという方がたまにおられます。

   

血中濃度を確認せずに、十分量のリチウムを投与することは非常に危険です。

   

それだけでなく、治療域に満たない低用量のリチウムでは、そもそも効果が期待できません。

  

治療域に入っているか、中毒域になっていないか、副作用がないかなどを採血で定期的にチェックをしないと、適切な治療ができません。

     

    

   

   

また、医薬品副作用被害救済制度というものがあります。

  

重篤な健康被害が出た場合に、医療費や年金などの給付を行う公的な制度です。

  

ただし、 薬剤を 「ルールに従って正しく」 使用していた場合の制度ですので、

 

必要な検査を行わないなど、不適切な薬剤使用をしている場合には、この救済制度が受けられないことがありますので、注意が必要です。

      

PMDA(医薬品医療機器総合機構)による医薬品副作用被害救済制度
https://www.pmda.go.jp/kenkouhigai_camp/

     

    

    

   

以上いくつかの理由から、当院では安全に安心して治療を受けていただくために、リチウム投与中は定期的な採血を行っております。

    

リチウム以外の気分安定薬や一部の漢方薬でも、副作用が出やすい薬剤については、リチウムほどの頻度ではありませんが、安全のために定期的に採血を行っております。

       

     

採血が苦手な方、あるいはしたくない方は、我慢せずに率直にお伝えください。

   

ちゃんと伝えていただければ、無理に採血を行うことは絶対にありません。

   

定期採血を要する薬剤を中止して、ご希望にできるだけ沿って、代替できる治療法を検討いたします。

     

PMS/PMDDについて③

次に、薬物療法についてです。

症状が中等症以上の場合には、薬物療法が必要になることが多くあります。

① 低用量ピル(OC-LEP)

低用量ピルによって排卵が起こらないようにすることで、エストロゲンとプロゲステロンの変動がなくなり、月経前の不快な症状が改善します。 嘔気や倦怠感、体重増加などの副作用が生じることがあります。

② 抗うつ薬(SSRI)

精神症状が強い場合には、抗うつ薬の中でもSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を使用します。SSRIは脳内のセロトニンの濃度を高める作用があるため、卵巣ホルモンの変動によって生じる、気分の落ち込みやイライラ感などを改善が期待できます。また、プロゲステロンの合成体の活性化を高める働きもあるので、抗不安作用もあります。

SSRIは投与初期に嘔気が出やすいですが、それ以外の副作用はそれほどなく、依存性はないため、比較的安心して服用ができます。

私の経験的でいうと、SSRIの用量は、ほかの疾患(うつ病、強迫性障害、パニック障害など)よりも低用量で効果がみられることが多いという印象です。

また、排卵日頃から月経までの2週間だけSSRIを服用し、うまくいくケースもあります。毎日服用が心配な方や症状が比較的軽い場合には、月経前だけの服用を勧めたりします。


③ 漢方薬 

低用量ピルやSSRIが副作用で飲めない、SSRIに抵抗があって飲みたくない、精神症状がそこまで重症でない、などの場合には、漢方薬を使います。

精神症状だけでなく、月経関連の身体症状が強い場合にも、漢方を提案します。SSRIと漢方薬を併用するケースも結構あります。

PMDDでよく使う漢方薬には、加味帰脾湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝乾姜湯、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、女神散、黄連解毒湯、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、四物湯、九味檳榔湯、通導散、芎帰調血飲第一加減等があります。一剤で治療することありますが、合方と言って、複数の漢方薬を重ねて使うことも多くあります。

主となる訴えだけでなく、周辺の症状をお聞きして、ある程度の方剤を絞りこんでから、腹診や脈診、ときに舌診を行い、方剤を決定します。

事前の予想通りの漢方的身体所見が得られれば、迷うことなく漢方薬を選択できますが、そういったケースばかりでもないため、問診と、身体所見に解離がある場合には、どちらを優先するかは、個別で判断していきます。

 

関連記事:PMS/PMDDについて①PMS/PMDDについて②PMSとPMDDの治療について

PMS/PMDDについて②

続いて、PMS/PMDDの非薬物療法についてです。

 PMSとPMDDの治療にあたって、まず本当に月経の周期に一致しているのかを確認する必要があります。

 できれば症状の記録をつけていただき、そのパターンを把握します。

 そうして、本当に月経前の症状だと確認できたら、治療を行っていきます。

 軽症から中等症の程度までの場合は、生活改善指導による効果が期待できます。

 夜更かしや偏った食事などの生活習慣を続けていると、PMSやPMDDの症状が悪化することもありますので、 規則正しい睡眠、バランスの良い食事、適度な運動を心がけることが必要です。

 飲酒、喫煙、カフェイン、精製糖を制限することが有効なこともあります。

 月経周期が規則正しい場合には、月経前を穏やかに過ごすために、前もって月経前付近に予定を入れないようにしてみるのもよいでしょう。

 また、ストレスが多い環境にいる場合には、日ごろから辛くて苦しい感情を言葉にして話すこともとても大事です。

 心理社会的ストレスによって症状が悪化することがしばしばあるので、抱えている心理的な悩みを整理するために、心理療法(カウンセリング)の実施が有効なこともあります。

 月経前の不調ある方は、生活を振り返ってみて、改善できることを少しずつからでもやってみてください。

 

関連記事:PMS/PMDDについて①PMS/PMDDについて③PMSとPMDDの治療について